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東方Projectの音楽をSC-88ST Proで聴ける環境を構築した話

昔のゲームはMIDIで音楽を鳴らしていました。そういった音楽を当時の音源で聴こうとすると、実は大変なのです。

こんにちは、山田ハヤオです。

皆さんは東方projectというものをご存知でしょうか?

1996年から続く弾幕シューティングゲームのシリーズのことなのですが、私はそのゲームの音楽が大好きです。

ということで今回は、GITYでこのゲームの音楽を聞いていきます。

MIDIとは

音楽をやっている方はご存知だと思いますが、昔から存在する音楽形式にMIDIというものがあります。

mp3やwav等の音楽形式は「音声データそのもの」を持っていますが、MIDIは「演奏する方法」を持っているデータ形式です。

MIDIは「どこの鍵盤を何秒押すのか」という情報しか持っていないため、それを鳴らすための音源が必要になります。

SC-88STPro

現代ではMIDIの音源にはソフトウェアを使うことが大半ですが、かつてはハードウェアMIDI音源という、MIDIを鳴らすための専用の器械がありました。

東方Projectの初期の頃のゲームもこのハードウェア音源が無いと当時の音を再生することができません。

ということでヤフオクで入手したのがこちらですドン!

SC-88ST Pro

入手してしまいました。SC-88ST Proです。

東方Project作品の推奨音源はSC-88Proです。SC-88ST ProはSC-88Proと音源として完全な互換性があります。違いは液晶の有無で、所謂廉価版というやつです。

このSC-88ST Proを鳴らしていこうと思います。

音を鳴らす

今回は16音色の構成です。いつか32音構成もやってみたいところですが、MIDIインターフェースを1つしか持っておらず、2系統のものは高価なので暫く先の話になりそうです。

構成

  • SC-88ST Pro
  • LEKATO USB MIDI Interface Amazonで2,000円でした
  • Windowsが動作しているPC WindowsVista以前が用意できると安定します
  • 3.5mmジャックを備えた有線イヤホン

PCとMIDI InterfaceをUSBで接続します。ドライバは自動でインストールされました。

MIDI InterfaceのMIDI OutとSC-88ST ProのMIDI Inを接続します。

最後にSc-88ST Proのフロントの3.5mmイヤホンジャックにイヤホンを挿せば配線は完了です。

必要なソフトウェア

  • 音を鳴らすゲーム・MIDI再生ソフトウェア 今回は東方紅魔郷を再生します
  • CoolSoft MIDIMapper

MIDI Mapperについて

Windows XPまでのWindows OSには規定のMIDIデバイスを設定するMIDI Mapperという機能がありました。

しかしこの機能はWindows Vistaで廃止されています。 この問題は東方ProjectのようなMIDIの再生デバイスを指定できないゲームにおいて致命的です。

そこで利用するのがCoolSoft MIDIMapperです。仮想的なMIDIデバイスを作成・リダイレクトすることで任意のMIDIデバイスを規定の出力先に変更できるツールです。

以下の公式サイトからダウンロード・インストールが可能です。

MIDIMapper | CoolSoft

東方紅魔郷

東方紅魔郷は前述した東方Projectの第6作品目の弾幕型シューティングゲームです。Windowsで動作する東方Project作品の中で最古の作品です。

第1作から第5作は旧作と呼ばれ、現代のコンピュータ(PC/AT互換機)ではないPC-98シリーズでのみ動作します。

98シリーズの実機は現在入手困難なため、動作させるにはエミュレータを利用するのが主流ですが今回は割愛します。 (私の技量不足もあり、エミュレータから音を出せませんでした。)

第6作以降はWindowsで動作しますが、MIDIでの出力に対応しているのは第6作~第8作目のみ1となります。それ以降の作品ではMIDIは非対応です。

また、東方紅魔郷にはWindows 10以降のOSで利用すると暴走するバグがありますが以下のDLLを導入することで回避しています。

crosire/d3d8to9: A D3D8 pseudo-driver which converts API calls and bytecode shaders to equivalent D3D9 ones.

実際の様子

東方紅魔郷をSC-88ST Proで再生する様子

第8作品目である東方永夜抄でも再生してみました。

東方永夜抄をSC-88ST Proで再生する様子

音を収録する

オーディオインターフェースを利用してSC-88ST Proからの音を収録します。

今回はインターフェースとしてQX1002USBを利用します。

ケーブル配線

MIDI InterfaceとPCの接続に変化はありません。今まではイヤホンに出力していたものをインターフェースに流し込みます。

SC-88ST Proの裏にあるRCA出力からInterfaceに出力し、その音をAudacityで拾います。

このときのインターフェースやミキサの音量調整は、GITYにいる音楽系に詳しい先輩に行ってもらいました。

収録をしている様子

収録にあたって、安定動作のためにゲームを動作させる(MIDIを出力させる)PCと、Audacityを動作させるPCを分けることにしました。

奥にあるのはGITYでレガシーなソフトウェアを動作させるために私が持ち込んだWindows 7が動作しているノートPCです。

手前のPCにオーディオインターフェースを接続し、デジタル化された音をAudacityで録音しています。

終わり

ハードウェアMIDI音源を聴けるシェアオフィスはGITYだけと言えるように環境を整えたいですね。 しかしそんなシェアオフィスの需要はあるのだろうか。

次回は東方Project発足当時のPCであるPC-98シリーズを分解し復活させようと思います。(失敗したらボツにします。)


  1. 正確には第9作品「東方花映塚」の体験版まで。旧作については知らないです。 ↩︎

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